運賃や乗り換え検索方法も徹底解説!モスクワ地下鉄攻略ガイド【ロシア鉄道横断紀行】
ロシア紀行シリーズ
ロシア鉄道横断紀行①計画と手引き編
↑加筆・修正中です、ご迷惑おかけします!ロシア鉄道横断紀行②準備と出発編
↑加筆・修正中です、ご迷惑おかけします!- ロシア鉄道横断紀行③ウラジオストク~シベリア鉄道の東の端~編
- ロシア鉄道横断紀行④シベリア鉄道~それは一期一会の連続~編
話が急にぶっ飛びますが、映画『バイオハザードV リトリビューション』(中島美嘉さんが出演するシリーズ5作目)では主人公アリスがアンデッドと呼ばれるゾンビと仮想空間(巨大セット?)の中で戦います。
その仮想空間に選ばれたのが
つまり海外から見た国のイメージは「ロシア=地下鉄」と言うことでしょう。日本にとっての「渋谷の交差点」がロシアにとっては「地下鉄」。
まさに首都、国のシンボルだね!
モスクワの地下鉄のスゴさの理由は下の三つを高次元で満たしているから。
- モスクワ市民の通勤・通学は勿論のこと観光客の脚となる「駅としての機能」
- 構内に芸術的にも評価の高い装飾を有する「美術館としての機能」
- この国の激動の歴史を物語る「歴史博物館としての機能」
そんな魅力度満点のモスクワ地下鉄を深掘りしていきましょう。
乗る前に知りたい地下鉄攻略術
モスクワの地下鉄は東京の地下鉄並み(それ以上?)に複雑。モスクワ市民でも迷うことがあると聞きます。私たち観光客ならこの「地下迷宮」の虜になってしまうかも。
そこで慣れていない観光客でも効率的に地下鉄を利用するテクニックをお教えします。
観光の必須アイテム、トロイカとは
モスクワに行くなら誰もが持つべきトロイカカードを使えば楽&効率的に地下鉄・バス等の公共交通機関を利用できます。
わかりやすく言えばモスクワ版の「PASMO」や「Suica」。チャージ式の交通ICカードです。
なぜトロイカがオススメなのか?
第一にICカードなので事前にチャージさえしておけばタッチするだけで改札を通れます。
これは忙しい観光客には嬉しい。
しかーーし!トロイカの本当のスゴさは他にあります。
それはお得感です!
地下鉄運賃について見ていきましょう。
- 改札から出なければどこまで乗っても均一運賃
- 基本的に旅行者が選べるのは
- Единый(回数券)⇒一回券の場合は55ルーブル(93.5円)
- Тройка(トロイカ)⇒一回の料金は38ルーブル(64.6円)
- 90分乗り放題券⇒一回65ルーブル(110.5円)
- デイパス(購入した日数分の乗り放題券)⇒一日券の場合は230ルーブル(391円)
為替は1ルーブル≒1.7円で計算
運賃は全てモスクワ地下鉄の公式ホームページで確認しましたが、「90分乗り放題券」については確認できず。現在は取り扱っていない可能性あり。こちらの運賃についてはロシア・ビヨンドの地下鉄についての記事を参考にしました。
乗り放題プランを除けばトロイカがお得!
一回券と比較すればトロイカの方が30円ほどお得です。
また直接の料金比較はできませんが、観光では急に計画が変わったりすることもあるので乗り放題券は使いづらいかもしれません。
足任せに観光するのであればトロイカはマストアイテムです。
トロイカの入手法など
トロイカは駅の窓口ですぐに発行して貰えます。
必要なのはデポジットとして納める50ルーブルのみ(カードを返却すればこのお金は返ってきます)。発行時にはパスポート等の身分証明書は特に必要ありませんでした。
チャージは駅の窓口もしくは自動チャージ機械でできます。カードに入れられる上限金は3,000ルーブル。
ちなみにトロイカの有効期限は最後の使用から5年間です。モスクワが気に入って再訪する機会があれば使えますね。
乗り換えルート検索法&所要時間の算出法
モスクワの地下鉄では幾多の路線が複雑に絡み合っています。
たくさんの路線があればその数だけルートが存在するものです。
そのため遠回りをしてしまおうと思えばいくらでも遠回りできてしまいます。まぁ遠回りも楽しいですけどね。
効率的に観光するならば最短ルートや所要時間を知っておくことは大切です。
そこでご紹介するのはモスクワメトロ公式ページのルート検索ができるマップです。
ロシア語で書いてありますが使い方さえ覚えれば簡単。
でも、グーグルのマップを使えばいいじゃない?
確かにグーグルマップを使ってもルート検索はできます。
ですが、コチラの方がより直感的に使えて使いやすいのでオススメです。
それでは使い方を見ていきましょう。
今回は例としてパルチザンスカヤ駅からプローシャチ・レヴォリューツィ(革命広場)駅までのルートと所要時間を調べてみます。
- まずは下記からモスクワ地下鉄マップ(公式・ロシア語)にアクセス!
モスクワメトロ公式地下鉄マップすると上のような地図が出てきます。
ここでブラウザの翻訳機能が使える場合はオンにしてください。
地図から出発地点を探します。「パルチザンスカヤ」は青い3号線の駅なので青い線上をさがします。
ここで最大の難関です。それは駅名がキリル文字で書いてあること。
私たちが普段目にする英語のアルファベットと似てますが異なる部分もあるので......予習しておきましょう。
キリル文字が分かればロシア旅行はさらに楽しくなるはず!
英語アルファベットとキリル文字の対応表をとてもわかりやすく書かれている記事を発見!本当にわかりやすいです。
rick08.hatenablog.comさて、キリル文字でパルチザンスカヤはПартизанскаяになります。
駅名をクリックするとボックスが現れます。
次は目的地の「プローシャチ・レヴォリューツィ」です。キリル文字だとПлощадь Революции。
こちらも先ほどと同じように駅名をクリック。
目的地に設定したいのでСюдаを選択。
- ジャーン!ルートが出てきました!
時計のマークの横に書いてあるのが所要時間です。мин.は分と言う意味になります。
今回の例は乗り換えのない例ですが、もちろん乗り換え込みの検索もできます。
ここで覚えておきたい単語はОтсюдаとСюдаです!
Сюдаはロシア語の副詞で「ここへ」という意味です(英語だとhere)。
Отは出発点を表す接頭語なのでСюдаにくっついてОтсюдаになると「ここから」という意味になります(英語だとfrom here)。
ここではパルチザンスカヤを出発地にしたいのでОтсюдаをクリック。
これで少しは地下迷宮を攻略できるかもしれません!
同じような機能がある無料アプリがあったのでチェックしてみてください。
ここの駅は回ろう
モスクワの地下鉄には約200駅が存在しています。
それぞれに特色のある魅力的な駅ばかりで、全てを網羅するのは大変です。
そこでここには行って欲しいなぁ~という駅を3つ選んでみました。
プローシャチ・レヴォリューツィ駅
最初にご紹介する駅は先ほど乗り換え検索の例に挙げた3号線のプローシャチ・レヴォリューツィです。
赤の広場から近いので観光する時には必ずと言ってよいほど利用すると思います。
しかしこの駅はただの降車地点ではありません。駅自体も観光地としての魅力が満点!
赤の広場の観光をうっかり忘れて駅の虜になってしまうかもしれません。
駅で運気上昇?銅像に触れて験を担ごう
この駅の最も目を惹くところはホームにある数十体もの銅像の数々だと思います。
本を読む女性、鶏と女性、旗を持つ男、少年と少女、銃を持つ青年…..銃を持つ青年with犬。 様々な銅像がありますが最も有名なものが最後の「銃を持つ青年with犬」です。
まずは写真に写っている犬の鼻を見てください。 「犬の鼻」が銅像の他の部分より輝いているのが分かると思います。
なぜ輝いているのか?それは何十年もの間、「犬の鼻」が人々に触れられていたからです。
どうやら「触れると試験に受かる」とか…
そんなゲン担ぎ(恋愛運アップや仕事運アップなどなど)が他の銅像にもあり、他の銅像にもテカっている部分が見受けられます。
皆さんも駅の利用の際は銅像をなでて運気アップ(?)してみてはいかがですか?
乗換駅と周辺の情報
- チアトラーリナヤ駅2号線
-
アホートヌイ・リャト駅1号線
直接乗り換え不可
アホートヌイ・リャト駅直通の地下にあるショッピングモール「アホートヌイ・リャト」がある。ちなみにおもしろ日本語ファッションブランドもこのモールで発見(その話はまたいつか)。
前述の通り駅名は日本語訳すると革命広場という意味になります。
革命広場自体は駅から歩いて5分ぐらいのところにあります。
世界中で有名なボリショイ・バレエ団が所属するロシア最大・最高の劇場「ボリショイ劇場」。この劇場に大通りを挟んで向かい合うように革命広場はあります。
ノヴォスロボーツカヤ駅
二番目は5号環状線のノヴォスロボーツカヤ。 美しさでいえばこの駅にモスクワ地下鉄の最高傑作の一つと言えるでしょう。
教会を思わせるステンドグラス
この駅の見どころは荘厳に並ぶステンドグラスの数々。
建設当時はうす暗い光で照らされていたそうですが、現在は明るいライトに切り替わっています。
余談ですが、私はモスクワを訪れる前には地下鉄にうす暗い印象を持っていました。
けれど実際には結構、明るいんです。
明るさの心理的効果なのか警備が厳しいからなのか?ゴミや落書きが少ないのもうなずけます。
きれいすぎて汚せないというのが一番の理由ですかね。
「平和を求める女性」の意味
ステンドグラスが目立つこの駅ですが、もう一つ重要な装飾があります。
それがこの石画です。中央に「赤ん坊を抱く女性」が描かれています。 女性の頭上には「МИР」という文字。
この「МИР」はミールと読み、①森羅万象、世界②平和という意味があります。
つまり彼女は次の世代の世界平和を祈っているわけです。
さぁ、ここでもう一枚、写真を見てみましょう。
Uncover past in the bustling present of Moscow Metro(英語ページ)
「МИР」と書かれていたところがある人物の横顔にすり替わっています。
この人物の名は「ヨシフ・スターリン」。ソビエト時代に最も権力を持った男です。
スターリン時代は大粛清の時代。彼は自身への崇拝を強いました。
その結果が上の白黒写真です。スターリンを天頂に配し「全能の父」として描いています。
スターリンの死後、後の指導者「ニキータ・フルシチョフ」によって行き過ぎた個人崇拝が改められ現在の石画になりました。
この壁は歪んだ歴史の証言者と言えるかもしれません。
マヤコフスカヤ駅
最後にご紹介する駅は2号線のマヤコフスカヤ。
駅名はロシア、ソ連の詩人で革命運動にも傾倒した「ウラジミール・マヤコフスキー」から。
気品のある落ち着いた美しさ
先ほど挙げた二つの駅はどちらかというと「主張の強い駅」でした。
初めにご紹介した「プローシャチ・レヴォリューツィ」では労働者や学生の銅像に建設当時の強い社会主義リアリズムが込められています。
社会主義リアリズムとは
文学・芸術の創作と批評の基本方法の一つ。現実を革命的発展の姿で歴史的・具体的に描き、人民の共産主義的教育に資するべきものとして、1934年第1回ソビエト作家大会で定式化。(以下略)
広辞苑 第六版より引用
次の「ノヴォスロボーツカヤ」は先述のスターリンの件があり、やはり主張の強い駅です。ステンドグラスもきらびやかで視覚的にも主張が強いかもしれません。
「社会主義リアリズム」であれ「スターリンへの個人崇拝」であれ、万人が美しいと感じることはないと思います。
さてマヤコフスカヤを見てみましょう。 内装は極めてシンプル。とても落ち着きます。ホームの幅も広く感じられるので他の駅と比較して開放感がありました。
駅名は革命の詩人から来ていますが、駅のデザインは荒々しいイメージとは正反対です。
天井のアーチは訪れる人すべてをそっと包み込むかのようです。
この駅の装飾は頭上にある石画です。テーマは「ソ連の空」。 上のような飛行機や気球、鳥など空をコンセプトにした絵が天井に飾られています。
モスクワ市民の盾として
第二次世界大戦中、ソ連とドイツは激戦を繰り広げていました。 当時のナチスには勢いがあり、第二の都市であるレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)が2年半にも渡ってドイツ軍によって包囲されました。その結果、70万人を超える市民が食糧難により餓死してしまいました。
そのナチスの猛攻が首都モスクワに迫っていました。
絶体絶命のそんなときにモスクワ市民の砦となったのが地下鉄です。マヤコフスカヤ駅も人々を守る「盾」となりました。
一説によると約50万人が駅のホームで寝泊まりをしていたとか。
地下鉄がこの町の象徴である理由がよくわかります。
駅周辺情報
駅から出ると駅名の由来のマヤコフスキー像があります。 ちなみに後ろに見える建物はソ連時代からの長い歴史を持つ高級ホテル「北京」。
「北京」は旧東側諸国でよく見られるスターリン様式を採用した建物の一つです。スターリン様式はニューヨークの摩天楼を模したと言われています。
また「チャイコフスキー記念コンサートホール」も駅近です。
「チャイコフスキー記念モスクワ音楽院」とは異なります。コチラの最寄り駅は「アホートヌィ・リャト」です。
初めに書いたとおりモスクワには200近くも地下鉄駅があります。ここまで3つ地下鉄の駅を見てきましたが、全体の2パーセントにも及びません。
他にも魅力的な駅が山ほどあります。
モスクワに行った際は自分の「お気に入り駅」を探してみてはいかがでしょうか?
地下鉄ツアーもある
街のシンボルである地下鉄。
地下鉄に特化した現地ツアーもたくさんあります。
知らないと素通りしてしまうような駅の装飾やそれらに隠された歴史的事実を聞きながら地下鉄を楽しむのはとても興味深い体験です。
私も「初モスクワ」だったのでツアーに申し込みました。かなり勉強になったので調べてみても良いかも。もちろん自分で回るのも探検気分で楽しいですが。
以下、私が参加したツアー(ガイドは英語)
総括:モスクワ地下鉄
日本の地下鉄もそうですが、地下ってなんかワクワクしますね。
私は「ハリー・ポッター」シリーズが大好きです。
話の展開が急だな!
登場人物等も好きなのですが、最も惹きつけられるのが物語の展開される世界観です。
特に好きな場面は不死鳥の騎士団から登場する魔法界の政府機関「魔法省」の場面。
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地下にある「魔法省」は独特な装飾や銅像などで溢れています。
最初に地下鉄を利用して抱いた感想は「ここ魔法省じゃん」でした。この雰囲気にモスクワ地下鉄はそっくりなのです。
地下鉄利用客の忙しく歩く様子や列車に乗り込む様子は、魔法省の職員と魔法のエレベーターのようでした。
古いようで新しいモスクワの地下鉄には魔法のような魅力が沢山つまっています。
間違いなくモスクワ一番の観光スポット「地下鉄」をぜひ満喫してください。