ヤマイチの洋画贔屓

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ポッタリアンはこう観る!『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』感想&考察

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ハリー・ポッター・シリーズ』の原作・映画の大ファン、通称「ポッタリアン」の私が『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(以下『ファンタビ2』)を考察します!

この記事は本編の内容にガッツリ触れています!

本作の私的評価

本作に個人的に点数を付けるのであれば =星3/5です。

具体的に挙げるなら

良かった点

(個人的に)残念な点

  • 上記の反動として本作はシリーズの入り口としてはオススメできない
  • ハリー・ポッター作品の後期に見られたようなダークな感じが強まり前作のような「魔法の世界のワクワク感」が乏しい
  • 特にキャラクター描写において前作・前シリーズとの矛盾点(相違点?)が見られる

一つずつ見ていきましょう。

本作は過去作品とのつながりが強い作品

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(字幕版)

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(以下、前作)は映画『ハリー・ポッターシリーズ』を未見な方でも楽しめたと思います。

世界観がしっかり造られているの作品群なので内容を知っているとより深く楽しめるとは思います!

一方の『ファンタビ2』は前作と比べ一見さんお断り感が強まった気が….

今作はハリー・ポッターシリーズの情報なしでは理解が難しくなるところが多いかもしれません。

本作に登場する次の重要単語が全く分からない方は要注意

いちおう単語解説をすると、

ナギニハリー・ポッターの宿敵であったヴォルデモート卿の愛蛇(?)。実はヴォルデモートの分霊箱(ホークラックス)の一つであった。余計にワカらなくなった方スミマセン!

血の誓い⇒おそらく原作の「破れぬ誓い」のこと。誓いを破った相手が死ぬというリアル「針千本飲ます」的な魔法。前シリーズでは『~謎のプリンス』に登場。

ニコラス・フラメル実際に存在した錬金術「賢者の石」を造った人物ダンブルドアのお友達。『~賢者の石』に名前だけ登場。

ファンにとってハリー・ポッターは「あれ、これってあの時のあれじゃない」という楽しみ方が満載のシリーズでした。

でもこれが7作(映画版8作)続いたことによって途中入場不可の世界観になってしまいました

そこで登場したのがファンタビ・シリーズです!

前作はシリーズをうまく仕切り直すことに成功、新しいファンも獲得

それでいてすごかったのはポッタリアンにはポッタリアン的な楽しみ方も残す素晴らしすぎるバランスだったことです。

さて前作を観て素晴らしい魔法の世界に感動した方々で「今までの作品も見てみよう、読んでみよう」&実際に観た・読んだ方は今作も楽しめたと思います!

しかーし!観たり読んだりせずに「この前の作品、面白かったから今回も行こうかなぁ~」と軽いノリで鑑賞された方は「全然、ワカラン&ビミョー」になってるかも...

そのビミョーな理由は次に挙げる前作との作品路線の変更にもあると思います。

雰囲気がハリー・ポッター後期のテイストに戻る

私個人の意見ですが、ハリー・ポッター後期路線は暗すぎるし重すぎると思います。

物語が終盤に向かう(特に4作目の『炎のゴブレット』から)につれてドンドン大切な人が亡くなっていくのでストーリーがダークに展開。

もちろんハリー・ポッター』を語る上でこのようなハナシになるのが避けられないのは十分に理解できます

でも『~賢者の石』、『~秘密の部屋』、『~アズカバンの囚人』で描かれたような「魔法の世界ワクワク・ウキウキ」な感じのほうが個人的には好きです

 

てな訳で、本作『ファンタビ2』がダークにシフトしたのは個人的にはショックでした。

特に前作が楽しい魔法動物がたくさん登場するワクワク・ウキウキ前期路線に戻っていて嬉しかったのでその反動で残念。

キャラクターがちょっと残念になる

今作の残念ポイントの一つはキャラクターの描き方です。

一人目は心を読むことのできる魔女、クイニー・ゴールドスタイン

心なしか私には彼女が前作よりも稚拙に見えてしまいました

今作の彼女は登場してすぐに“惚れ状態”解除後のジェイコブの心を読み、彼が彼女に疑問を持っている(?)と知ると失意のうちに出て行ってしまい、その上、グリンデルバルドとその一味にうまくそそのかされてしまいます。

「心は読むべき時に読んでぇ~」と言いたくなります。

グリンデルバルドの閉心術(他人に心を読まれないようにする術)が強すぎるという言い訳も一応できますが...

前作は魅力的な魔女だったクイニーのファンはショックです。

どうして彼女はこうなったのか?彼女の心理描写をもっと丁寧に描いて欲しかったです。

例えばロンドンのニュート訪問までの彼女のニューヨークでの描写を差し込み、彼女がどうしてここまでセンシティブになってしまうのかの経緯を説明するべきだと思います。

制作側が物語を進行させるために無理矢理、彼女のキャラクターを変えたのであればショックです。

チョー余談ですが、原作にもマグルの男性の気を引くために魔女が惚れ薬を使った例がありました。

メローピー・ゴーントという人物で後のヴォルデモート卿の母親になる人物です。

今作の彼女はメローピー重なる部分もあります。

昔のクイニーよ!戻って来てくれぇーい!

キャラが変わって残念な人の二人目はグリンデルバルドですが、彼についてはマニアックな疑問になるので次の項目で書きます!

ちなみにグリンデルバルドの場合は原作のイメージとキャラクターが違うと思います。


いろいろ残念なところもありましたが、ポッタリアン的に萌えのシーンも沢山あります!

グリンデルバルドの逃走シーンなんてメチャクチャ興奮しました!

大ファンだからこそ引っ掛かってしまうミスリード(『死の秘宝 PART1』におけるバチルダ・バグショットのシーンと酷似)もありました。

この映画は知っている人からすると他のポッタリアンと語りたくて堪らなくなる映画です

だからこそ細かい疑問点がたくさん生まれます。

ポッタリアンから観た疑問点

ここからは私が気づいた細かい疑問について触れていきます。

ファン以外からすると「何言ってんだ?」ということになるので興味の無い方は読み飛ばしてください!

1.冒頭の逃亡シーンに出てきた移送車を引くセストラルが普通に見えている件

『不死鳥の騎士団』に登場し、身近な人物の死を目の当たりにした人にのみに見える翼を持つ馬、セストラル。

今回はグリンデルバルドの逃亡シーンで普通に見えています。

見えないとアクション感弱まるからでしょうか?

2.名称変更

米国魔法議会(MACUSA)は後の米国魔法省(M.O.M)ですが、今作ではすでに名称が変更されています。大蔵省から財務省的なやつなのでしょうか?

3.アルバス・ダンブルドアの担当科目

原作のダンブルドアは「変身術」の先生という設定です

ですが、授業中に「まね妖怪」が登場することから、本作では「闇の魔術に対する防衛術」の先生であるらしいです。

ダンブルドアは在学中に『変身現代』等の学術誌に論文が掲載されていたような人なので他の教科の教授をすることはないような気がします。

それにしても、半世紀以上ホグワーツに奉職したメリィソート先生はどうなったのでしょうか?

4.グリンデルバルドよ!頼むから、空き家を探せ!

グリンデルバルドとその一味が罪も無きフランス人一家を殺しますが、これではヴォルデモート卿と同じだと思います。

できればグリンデルバルドは完全な悪としてではなくダンブルドアとは違ったかたちの正義を求める人物として描くべきだったと思います。

そうしないと後半の彼の集会シーンでの演説と整合性が取れなくなってしまうような...

5.闇祓いは基本的に許されざる呪文を使うべきではない

集会シーンで集まっていた女の子が闇祓いに殺されてしまいます。

闇祓いには「武装解除の呪文」とか「麻痺の呪文」とか「硬直の呪文」とかを使って欲しいです。

これではアメリカの公民権運動時代の黒人たちを取り締まる警察官と同じになってしまいます。

6.ダンブルドアの兄弟とは

アルバス、アバーフォース、アリアナの3人だったはずですが、今作のラストに衝撃の真実が明かされます

個人的にはあまり過去の物語を改変して欲しくないので嘘であって欲しい!

この世界において3人というのは結構重要。ハリー、ロン、ハーマイオニーは勿論のこと、『三兄弟の物語』も「3人」がキーワードです。

7.(追記)タイコ・ドドナスの予言(The Predictions of Tycho Dodonus)について

"A son cruelly banished
Despair of the daughter
Return, great avenger
With wings from the water.
"—Prophecy 20 by Tycho Dodonus

下記リンクからの引用

The Predictions of Tycho Dodonus | Harry Potter Wiki | FANDOM powered by Wikia

今作、及び『ファンタスティック・ビースト』シリーズ全体においてかなり重要な影響を及ぼすであろう『タイコ・ドドナスの予言』について触れておこうと思います。

ハリー・ポッター』シリーズにとっても“予言”はキーワードでした

闇の帝王を打ち破る力を持った者が近づいている……


七つ目の月が死ぬとき、帝王に三度抗った者たちに生まれる……


そして闇の帝王は、その者を自分に比肩するものとして印すであろう。


しかし彼は、闇の帝王の知らぬ力を持つであろう……


一方が他方の手にかかって死なねばならぬ。


なんとなれば、一方が生きるかぎり、他方は生きられぬ……


闇の帝王を打ち破る力を持った者が、七つ目の月が死ぬときに生まれるであろう……。

上記はトレローニー先生が行ったハリーまたネビルとヴォルデモート卿の運命を表すシリーズ最大・最重要の予言です。

今作のタイコ・ドドナスの予言を私なりに訳すと、

残酷に追放された一人の息子、娘の絶望

偉大なる復讐者が水に由来する翼をたずさえ帰還するであろう

今作だけから判断すると「追放された息子」はクリーデンス「娘」はリタ・レストレンジということになるのが筋(?)。

きっと、なんらかのひねりがあることは間違いないのでファンの間では議論を巻き起こすと思います。

ぜひ、みなさんも原文を色々と訳して悩んでみてください!

次回作への期待

こんなに疑問が生まれましたが、長く続く物語の辻褄を合わせるのは本当に困難だらけだと思います。

そんな中ここまで楽しませてくれた制作陣に感謝。

前作とは違い今作は絶対続編見ろ感が強いのでとても楽しみです!